なぜ、植栽が一本あるだけで家が変わるのか。
木を一本植えると、変わるのは庭ではなく、家の見え方です。直線でできた建物に、一本の木が何をもたらすのか。そして、たくさん植えるより大切なことについて。

建ったばかりの家は、どこか硬く見えます。
壁も、屋根も、窓も、まっすぐな線でできているからです。
そこに木を一本植えると、家の見え方が変わります。変わるのは庭ではなく、家のほうです。
直線のなかに、曲線がひとつ
建物は、人が引いた線でできています。木には、一本として同じ形がありません。
直線だけの景色に曲線がひとつ入ると、目はそこで休みます。壁の色も、屋根の形も、木がそばにあることで、はじめて引き立ちます。
止まっているものに、動くものがひとつ
家は動きません。木は、風で揺れ、季節で色を変え、年ごとに大きくなります。
壁に落ちる影は、朝と夕方で形が違います。落葉樹なら、夏は葉が茂り、冬は枝だけになります。
動かない家に、時間が流れはじめます。
本数ではなく、場所
たくさん植える必要はありません。大切なのは、どこに立てるかです。
道路から家を見たとき。玄関へ歩くとき。部屋の窓から外を見たとき。そのどれかで、かならず目に入る場所。
そこに一本あれば、十本をばらばらに植えるより、景色は変わります。
道路の向かい側から、自分の家を眺めてみてください。一本立てるなら、どこか。その場所が、庭のはじまりです。